KITKISsh0001_I.jpg人は本当にみずからの意思で自分の人生を選び取ることができるのだろうか・・・。恋愛・仕事・結婚出産・家族・死、大手企業に勤務するキャリア女性が29歳から40歳までの「揺れる10年」を描き「運命」の不思議と、その根源的意味を鮮やかに描いた小説である。「自分にとってもっともふさわしい人生の選択肢とは幸せとは」を問い、登場人物が皆、真摯に真剣に生きている様は、ある意味、自分の中の何かが動いた感がありました、主人公の最愛の人の田舎のお母さんが彼女に宛てた手紙の中の「選べなかった未来はどこにもない、未来など何一つ決まってはいない」と言う一節、それと「お母さん遅くなりました」「そうよ10年の遅刻よ」と言う再会の場面が何故か胸を熱くしました。