『スイスの旅を終えて』

まだまだ7時間の時差は体に来ていない。

たくさんのお金、たくさんの物を持っていることが本当に幸せなのかと言えば、果してどうだろう?

夜、7時になればお土産さんもしまり、食糧品を売っている店と言えばCOOPしかない。そしてそのCOOPも6時半には閉店。テレビのチャンネルだって片手で余る。ネオンサインもなく、ほとんどの家には冷房もない。夏は窓を開けて寝る。そして虫よけとしてテラスには、どの家も匂いの強い花を飾る。自然の時間の中でゆったりと生きていく。私自身、もともと、どう言うわけか、20代から物欲にはとんと疎遠。車も動いて丈夫ならいい。家だって億ションはいらない、雨風が凌げて少しの庭があれば幸せ。ここまでの生き方でいいんだと、そんなことを改めて認識。『本当の豊かさとは、物を持つ豊かさではなく、心のありかたの豊かさではないだろうか』と思えた。

山道で車がすれ違い、バックして譲る姿を何度も見た、その時は運転手同士が親指を前に突出し、笑顔であいさつをしていた。マウンテンバイクで山を登り下りして楽しんでいる老若男女がたくさんいた。車は曲がり角の前方が見えないところ以外は決してどんな時でもクラクションは鳴らさない。じ〜と広い道にでるまで穏やかに後からついていく。

シンプルな生活が一番しあわせ。デンマーク、オランダ、スイス、GNPは日本より高い。今回のワールドカップの試合を見ても、豊かである国の選手のプレイは他の国と比較するとラフなプレイが少ないように感じた、心が満たされているからこそ、そこに穏やかな国民性、人間性が生まれる。

先月、上海にいったばかりだからこそ、その「差」が歴然。そこには日本とは違った、大陸という環境があり、陸続きだかこそ、悲しいかな侵略と略奪の歴史があり、静かには送れなかった歴史がある。そしてその長い経験の積み重ねによって国民性が生まれる。

自分自身も、わずか80年の歴史だが、いろいろと痛い思い、辛い思い、嬉しい思いの積み重ねによって、人さまから頂く、思いやり、優しさによって、人間性も形成されてくるのに違いない。

今回の「旅」は色々なことを教えられた意義のある旅でした。年齢的にも節目。定年を迎えらえた余裕のご夫婦が多く。今後の自分自身、どう生きていくか、どう時間を刻んでいくか。残り時間も豊富にはない。選択肢も限られてくる。だからこそ迷うことなくシンプルに生きられるとも言える。シンプルが幸せ